依存症について

依存症については当事者として素人なりにも少なからずは勉強してはいますが、一人の依存患者としての視点で述べていますので、学術的正確性を保証するものではありません。

依存症とは

厚生労働省のホームページ(2020/1時点)では「特定の何かに心を奪われ、「やめたくても、やめられない」状態になることです」と説明しています。

ほぼ同義語として「嗜癖(しへき)」と言う言葉があり英語ではアディクションとされるます。日本アディクション看護学会ホームぺージ(2020/1時点)では「アディクションはコントロール障害を特徴とする「病気」であり、アルコール依存症、薬物依存症、タバコ依存、買い物依存、恋愛依存、性依存、ギャンブル依存、ネット依存、ゲーム依存、共依存など様々な依存症があり、さらには摂食障害、DV、児童虐待、暴力など直接は依存症ではないと考えられているものも含まれる幅広い概念です」と説明されています。

依存症に関する関係機関や学会等の定義を大まかに解釈すると、趣味・嗜好(無意識的な傾向も含め)がコントロールできなくなり、生活に支障をきたすまでになった状態であると言えます。
そして「脳」の病気であると。

依存症は治るのか?

依存症は完治できない!

前述で脳の病気であると言ったように、一度依存症になった脳は依存状態の記憶を生涯にわたって残してしまうので依存症は完治できない。

私たちは普段意識していないことでも昔のことを思い出し懐かしがったり、全く忘れていたことでも何かのきっかけで遠い昔の記憶を思い出すことが有るように、意識的に記憶を消すことはできません。あることを忘れようと考えた時点でそのことを意識しているわけで、それはまた記憶に残ってしまう。
つまり依存状態という隠微な魅力的刺激を知ってしまった脳は、その記憶を生涯忘れないという考え方が主流です。

したがって依存症はいかに症状を抑え、生活に支障をきたさないようにするかという再発予防と対処療法的な対策しか取れないないというこであり、生涯依存症と共に生きていく事が必要であるといえます。

共依存関係

「共依存」という言葉を検索してください。

Wikipediaなどで詳しく説明されていますが、不幸な連鎖として依存者が依存状態でいられのは、その依存者を維持している者がいる。すなわち依存者を維持することに依存する依存者がいるという関係である。
悪く言えば、不幸にも依存症という病気になった者の病気を、治すのではなく悪化させる手伝いをしていることになる。これは共に大変不幸なことであり、身近に依存症の方がいる方は、自らは共依存関係にないか自問してください。

例えばアルコール依存の家族が暴れるからお酒を与える。ギャンブル依存の家族にお金を貸す。たしかに不機嫌になったり暴れられるぐらいなら渡した方がいいと思ってしまう。
現実に向き合うのは辛く苦しく面倒でもありますが、あなたもその関係に依存してしまっている共犯者であり依存状態であるわけで、長引けばそれだけ長く苦しみ、事態は悪化してしまうでしょう。

依存症への対処法

・依存対象に接触しない
・依存対象を弊害の少ない物に置き換える
・依存症であることを自覚する
・依存症により起きている事実、弊害を直視する
・依存対象を分析、理解する
・助けをもとめる

先ずは物理的に依存対象に接触しないようにすことが初めの一歩でしょう。
アルコール依存者もアルコールが手に入らなければ飲めませんし、薬物依存者も薬物が手に入らなければ服用できません。ギャンブル依存はお金が無くなれば出来ませんが、これらは周りの環境が大切です。

身近な人がいる場合

本人は依存症であることを認めなかったり、または認めていても止めたいとは思っていない場合は簡単ではありません。そして身近な人ほど被害を受けてしまいます。ですがただ感情的に怒ったりするだけで改善出来るのであれば依存症になっていないともいえます。
ここでは身近な人が冷静になりじっくりと依存について学びながら話し合い、または第三者や専門家、専門機関に助けを求めるべきです。だが身近な人に相談する場合に注意が必要だと思います。依存症を甘えやだらしがないからだなどと短絡的に捉えてしまう人や、何事も精神論でかたずけようとする人に相談しては逆効果な場合もあります。依存者が大事な人であれば、依存症を理解し、寄り添い、一緒に依存症について考えてあげてください。

もし身近なあなたが依存者に寄り添えないのであれば、被害が少ないうちに早く離れてください。それが双方のためだと思います。

一人で苦しんでいる場合

一人で苦しんでいる方は、少しでも早く専門機関や団体に助けを求めましょう。
自らの力だけで乗り切るのはかなりの至難の業だと思います。依存対象を他の趣味などに置き換えることが出来ないから依存症を繰り返しているのでしょうし、親族でもない限り他人は所詮あかの他人ですから真の意味では面倒は見てくれません。自らの意思で治そうとする仲間と協力して、依存を止める努力を継続することがすることが最善でしょう。

例えば一人暮らしで毎週毎日、競馬とパチンコスロットとギャンブル依存で自転車操業をしている人は、自転車が漕げなくなれば必然的に止まりますが、一休みして疲れが取れるとまた漕ぎます。そしていつの日か必要なお金にも手を出してしまう。一度手を出し運よくそれを切り抜けた人は、また手を出します。現実逃避も始まり漕げなくなるまで走るのが王道です。

一人暮らしのアルコール依存者は体を壊すまで飲むでしょう。外で飲んでいるうちは誰かに会うので異常に気付いてもらえる可能性がありますのでまだマシでしょう。悪化して、金銭的にも対人的にも家で飲むようになると危険です。酔ってあちこちに電話をします。始めは相手もしてくれましたがしだいに夜の電話には出てもらえません。
そうです、世の中の人は酔っ払いなんて嫌いなんです。
自分だけ酔っぱらって一方的に電話してくる迷惑者です。

お勧めのドラマ

薬物依存が折り込まれているドラマです。シャーロック・ホームズを現代版に置き換えたアメリカTVドラマシリーズで、ドラマ自体も楽しめますが主人公は薬物依存症という設定でありサポートグループへ通うなど、依存症への理解に繋がるかと思います。

あるセミナーで聞いた名言

「他の依存症は周りの人が大変苦労するけど、アル中は体壊して早く死んじゃうから、ある意味ではまだマシなんです」

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